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日も暮れて暗い物干し。
部屋の灯りを点けなければ、掃き出し窓の外は暗い。
部屋が明るいと、開閉の際に蚊が入ってくるのだ。
警戒して暗いまま、物干しに降りる。
と、見ると。
ロープに掛かった洗濯物の合間に、物体が。
近づいてみると、向こう側に嘴がある。
お宅さん、どちらから?
短い尻尾あたりを指で突くと、「やめんかい」と嘴を開いて少しだけ威嚇してみせる。
暗い視界のなかシルエットを見るに、どうも毛羽立っている様子で雛鳥と思しい。
ロープに居座ったまま、退く気配はない。
今一度指で突いてみるが、「やめんかい」、とリアクションは同じ。
奴さんの真横の洗濯バサミを外そうとすると、振動がお気に召さず「やめんかい」と。
そう言われてもな。
三度、つついてみたが、怯む様子もない。
さて、弱った。
親とはぐれたのか。
帰りに迷ったのか。
雛鳥を一夜招いたとしても、与えるエサが思いつかぬ。
放置して死なせても、寝覚めが悪い。
キミの好物は何かね?
途方に暮れる前に、とうに日暮れは過ぎている。
まずは、奴の周りの萎れた洗濯物をやっつけるとしよう。
抗議の嘴をかわして、ともかくも洗濯バサミを外した。
とたん。
ぱたぱたぱた。
漫画の擬音のごとき羽音をたて、不意の来客殿は逃げ去ったのだった。
おいおい。
暗くとも飛べるのか。
鳥目はどうした?
まだ産毛の残る若い鳥は、少々道に迷っていただけらしい。
一宿一飯、授けてもよかったのにな。
いや、生き倒れてくれなくてなによりだ。
暗いから、気をつけて帰りたまえ。
奴さん、一体、誰の子だったのやら。
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