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本当は弾けた役どころだって難なくこなすのであろう、このひと。
だが、期待される役柄は静かな人物に偏りがちになる。
緒形直人さんの、元々はきっと計算外であったろう静かな空気感は、滾る情熱も驚きも悲しみも、ひたすら静かに内臓に沁みてくる。
思えばお若いうちからのことだから、これは人柄そのものから滲みだすものなのだろうか。
テレビドラマ「上意討ち 拝領妻始末」リメイクは豪華キャストを端々に迎え、下種な感想としては、ギャラだけでもたいしたもの、といったところ。
時代劇の『らしさ』を最も演出するものは、人物の所作の数々。
一挙手一投足に、いま廃れゆく日本人の折り目正しく整然とした立ち居振舞いを見せる。
あぁ、これこそは京都太秦の真骨頂。
画面の前では視聴者ですら、知らぬ間に背筋が伸びる。
豪華も豪華なベテラン勢の時代劇らしさを堪能させてくれる重厚さの中、若手とは言い難くもベテラン勢の平均年齢からしてみれば若年である緒形直人さんの好演が光る。
腹によく力を貯めた、笹原与五郎の気骨をしめす声色。
そして、豪華ベテラン勢に引けも取らぬのは、その所作の美しさ。
几帳面に、丁寧に、そしてカメラワークとのシンクロも良い。
素晴らしい、と自然(じねん)に口から声が毀れた。
凛として、時として美しすぎるが故に周囲から浮き上がることもしばしばな仲間由紀恵ちゃんも、この緒形直人さんあってこそ、高潔さと不器用さを綯い交ぜにした妻、笹原いちでいられるのだろう。
訓練はひとを美しくするものだが、この清々しく閃くようであり几帳面でもある立ち居振舞いは、彼(緒形直人さん)の人柄を写すものとも云えよう。
日本に残る美しい所作、しぐさを茶の間に伝える役者さんが今の世にもいてくれて、とても嬉しい。
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